浪人のススメ ~浪人で得する人・損する人~
浪人と聞くと大抵の人がネガティブなイメージを持ちます。
「周りから1年遅れをとる」「予備校費用が余計にかかる」「負けた気がする」
私の塾に来る浪人生も、だいたい最初は悲壮感や絶望感を漂わせながらやってきます。
しかし、現役合格がすごい、偉いということは全くありません。
例えば昨今は高校の評価が「現役合格率・進学率」という数字でなされる部分もあるため、高校教師が無理矢理Fランクの大学を受けさせたりするとも聞きます。
しかしそういった謎の風潮に流されて、レベルの低い納得感のない大学に現役進学にすることのほうがよっぽど人生においての「誤った選択」となる危険性をはらんでいます。
今回は浪人がいかに有意義なことか、どんな浪人生活なら成功するのか、私の考えを書いてみたいと思います。
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生涯給与が跳ね上がる可能性大
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人生でなかなかない孤独な挑戦の経験と達成感を得られる
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浪人で成功する環境とは
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全員に浪人を勧めるわけではない
①生涯給与が跳ね上がる可能性大
よくあるケースを考えてみましょう。
AくんとBくんは2人ともGMARCHを目指して受験をしていましたが残念ながら1つも合格が取れませんでした。
2人ともセンター利用入試で出願していた日東駒専レベルの大学は1校だけ合格通知が来ており、
→Aくんは悩みましたが浪人生活は嫌だし、日東駒専レベルの大学に進学することにしました。
→Bくんは合格を蹴って浪人することを選び、1年後にGMARCHに合格することができました。
Q.大学卒業後、AくんとBくんが一般企業で40年ぐらい働いたとして、総収入の差は最大でざっくりいくらになるでしょう・・・?
下記のリンクをご覧ください。
大学と就職-平均年収 | ダイエットスタディ【ゼロからMARCH合格保証】私大文系大学受験塾
表の中のMARCHレベルの大学で最も上に位置している中央大学の平均年収は531万円。逆に日東駒専の中で最も下にある東洋大学の平均年収は425万円。
その差106万円。この収入差がざっくり40年続いたとすると・・・
A.4240万円
の差がつく可能性があります。
乱暴な計算ですのでイメージとして捉えてください。
会社によって賃金カーブも違いますし、40年ずっと同じ差額があるわけではありません。しかし大差がつく可能性があることもまた事実です。
ちなみにトップとボトムではなく、MARCH5校の平均と日東駒専4校の平均値はそれぞれ510万円と450万円ですから年収にして60万円程度の差が見て取れます。
言わずもがな、大東亜帝国レベルとGMARCHであればさらにその差は拡大します。
お伝えしたいのは数値の具体性うんぬんではなく、1年浪人しただけで後々これほどの収入差がつく可能性があるのだということです。
言い換えれば、たった1年浪人をしただけで、しなかったときより数千万円多くもらえる可能性があるわけです。
浪人を迷う人の中には、1年間の予備校費用などについて気にする人もいます。
もちろん個々の事情があるので、それをケチだなんだと言うことはできません。
予備校に通えば平均100万円程度はかかってしまうでしょう。
しかし、100万円の初期投資で数千万円のリターンがあると考えたらどうでしょう。
仮にこれだけのリターンが見込める金融商品があれば、大抵の人は買うものかと思います。
中には借金してでも購入する人だっているはずです。
浪人はまさに「自分への投資」なのではないでしょうか。
②人生でなかなかない孤独な挑戦の経験と達成感を得られる
浪人が有意義である理由はお金の話だけではありません。
人間は普通、人生の大半をなんらかの集団に属して生きています。
小学校に入学してからは学校の一員となり、就職後は会社の一員となります。
しかし浪人生というものは家族以外に帰属する場を持たない社会的に孤独な存在です。
学生証・社員証などもなく、大抵の人は自動車免許も取得前、警官に職務質問をされればなかなかのピンチを迎える立場です。
人によってはこれを全く意に介しませんが、人によっては大きな不安感・孤独感を抱きます。
そんな中、することと言えば毎日勉強ばかり。
顔合わせるのは塾の講師やクラスメイトぐらいなもので、単調な日々が続きます。
やはり本人のそれなりの覚悟、頑張りが持続する環境などがなければ、孤独で退屈な日々から逃げ出したくもなります。
しかしそのような状況の中で1年間頑張り通すことができ、さらに結果も出すことができたときに得られる達成感は快感以外の何物でもなく、言い表せない喜びや、今後の人生の苦難も乗り切れるような自信を手にすることができます。
私の塾にも毎年悲壮感漂う浪人生がたくさん入塾してきますが、そのときの表情と、受験終了後の表情を比べるとまるで別人です。
1年間の孤独な挑戦を成し遂げることができた自信と、待ちに待った大学生活への希望に満ち溢れた、まさにキラキラした表情をしています。
生徒によっては志望校に合格できなくても、1年間やりきったという事実に納得感・満足感・自信を得ています。
大学入学後に遊びに来る卒塾生の中には「浪人時代のほうが一生懸命に目標に向かって頑張っていて充実していた」とまで言う生徒もいます。
大学を楽しむために頑張っていたのに本末転倒な側面もありますが、それほどまでに印象に残る1年を過ごすことができれば、その浪人生活は間違いなく人生の糧となるでしょう。
もちろん、その人の過ごし方次第です。
せっかく浪人をするのであれば、結果以外にも得るものがあるような充実した1年にしてほしいものです。
③浪人で成功する環境とは
前述の通り、浪人生は孤独な存在です。
そんな中、高いハードルに向かって1人で1年間勉強を継続させることは、並大抵の精神力では難しいでしょう。
そこで意識して整えたいのが「環境」です。
一言で言えば「誰かが見守ってくれている環境」が必要なんだと思います。
知り合いのベテランの高校の先生は、自分のもとを卒業して浪人している生徒に、1年の間に定期的に手紙を送っていらっしゃいます。
誰か大人が気にかけてくれている、見守ってくれているという事実が、大きな安心感を浪人生に与え、モチベーションの低下を防ぐことができるからだそうです。
確かに、その先生の元から私の塾に来て浪人をしていた女子生徒は、先生からの手紙を持ち歩き、自習室で度々読み返していました。
そんな先生がたくさんいればいいですが、そうではありません。
であれば、それに似た環境をつくるべく、塾選びや日頃の生活で工夫をするべきでしょう。
大学時代よりも浪人時代のほうが充実したとまで言える生徒が現れるのは、生徒密着型で浪人生のメンタル部分も支えている塾だからという要因があるからだと感じます。
逆に、昔から大手予備校の近くのパチンコ屋・ゲームセンターには浪人生が多くいると言われていますが、それは彼らには目をかけてくれる大人が身近にいないからなのかもしれません。
塾選びで言えば、以前の記事でも書きましたが、例を必要度の高い順位並べると
・出欠確認・報告のシステムがある(=サボりが常態化しない)
・朝からちゃんと授業がある(=生活リズムが乱れない)
・個別または少人数制(=講師が生徒の細部まで把握できる)
・保護者と塾のやりとりがしっかりある(=塾と家庭で一緒にフォローしていける)
のような環境がある塾が浪人生には必要だと考えられます。
浪人生活を検討するのであれば、上記のような塾を探したり、環境を整えることができるかどうかを必ず検討してほしいと思います。
④全員に浪人を勧めるわけではない
浪人のススメというタイトルをつけておいて今更ですが、浪人に価値があるからと言って誰にでも浪人を勧めるわけではありません。
・現役でMARCH程度までは合格して早慶に落ちた。
ないしは早慶に合格したが国立大学に落ちた。
・合否に関わらず英語・社会・理系科目などが現役時代に既におおよそ完成されていた
上記のような生徒には浪人はあまりオススメできません。
なぜならばもう1年やったところで結果が変わらない可能性が高いからです。
早慶や国立大学のようなハイレベルな大学の合格には、基本的な実力にプラスアルファで「センス」「運」といった要素が必要となってきます。
これは「努力」「量」ではなかなか補えない要素です。
現役時代に勉強量が足りず、もう1年やればもっと伸びる!と確信できていれば良いのですが、それなりに基礎が完成されており伸びしろがあまりない・・と考えられる場合には、無謀な挑戦となりかねません。
例えば公認会計士試験や司法試験を目指す人の中には2浪、3浪が普通に存在しますが、それに似ています。
同じようなことが科目の特性についても言えます。
例えば社会科目は、努力して暗記をすれば点数が伸びる科目です。
しかし国語などは優秀な生徒でも点数の上下動があり安定しません。
現役時代に社会のような科目が詰め切れていないのであれば浪人して伸ばすことができますが、そのような科目が完成していた場合、浪人によって伸ばせる伸びしろがほとんどないことになってしまいます。
その結果、現役と変わらない結果となる可能性が高いのです。
そのような人は、現役で受かった大学に進学することをお勧めします。
浪人は悲観すべきものではありません「自分の将来への投資」です。
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