合格したけりゃ1回読んどけ

    元エリート営業マンが塾・予備校、大学受験、キャリア論など、読み手にとってなるべく有益な情報を。

キーエンスというホワイト企業の実態

キーエンスという会社をご存知でしょうか?

実はDIET STUDYの経営陣4人のうち、私を含めた3人はキーエンス出身者です。

今回は受験からは少し離れてキーエンスという会社について書いてみます。

※2017年の記事の情報を更新した記事です。

 

新年度の入塾面談をしているとキーエンスを知っている生徒の保護者から

キーエンスだったんですか!? 優秀なんですね」

キーエンスだったんですか!? 収入下がったでしょう?」

キーエンスだったんですか!? 体が辛かったんですか?」

とだいたい3パターンの反応をいただきます。

 

1番上はありがたい言葉ですが、下2つの質問にはいつも笑ってしまいます。

 

キーエンスは製造業に欠かせないセンサや測定器などの精密機器を開発・製造・販売している会社です。

BtoB企業ですので一般の人の目にはほとんど触れることのない会社ですが、事業内容とは関係のないところで結構有名です。

 

キーエンス”と検索すれば目に飛び込んでくるのが

 合理的経営で超高収益を生み出している 

 給料が超高い

 激務と徹底管理で社員は疲弊している

こんなフレーズたちです。

 

だから、いま塾講師に転向している私のことを保護者の方々が心配してくれるんだと思います(笑)

 

散見される情報というか噂に対して、元社員として私見を書いてみます。

 

<超高収益>・・・ホント

 細かいことはネットで検索すれば色々出てくるので興味のある方はそちらをご覧ください。

営業利益率が50%を越える高収益企業であることは明白な事実です。高収益なうえ無借金経営で、仮に売上がゼロだったとしても十数年間は社員を養えると説明会で聞いた記憶があります。

就職活動をしていた学生時代、無知な私は利益率50%越えという驚異の数字に大した凄さを感じていませんでした。

むしろ東芝とかSHARPとかよく聞く名前の会社の利益率が2%とか5%とか1桁%だと知って、あんな大人数で働いてそんな利益しか生み出せなくて一体何がしたいんだろうぐらいに思っていました。今になって見ると凄さが分かります。

 

キーエンスの高収益の理由は徹底した合理主義にあります。

営業・開発の双方が加速的に業務を遂行できるように様々な合理的ルール・仕組みが随所に用いられ、社員がそれに乗っかっていくだけで大きな利益が生み出せます。

また生み出された利益はこれまた合理的にしっかりと社員に還元されます。

 

離職者も少なくない会社ですが、この合理的な仕組みに乗れるかどうかがキーエンスという会社でやっていけるかどうかの分かれ目だと思います。

仕組みに乗っかることが出来ない社員は淘汰され、乗る気がない社員は自分から辞めていきます。

私に関しては乗っかりながらも辞めてみましたが、それについてはまた別の機会に書いてみたいと思います。

 

<超高収入>・・・ホント

 東洋経済などの雑誌がたまに特集する「給料ランキング」で必ず上位にキーエンスはランクインしています。 

toyokeizai.net

前述の通りの高収益を社員に還元していれば、当然の結果とも言えます。

私がいた当時は入社4年目ぐらいの20代社員が普通に1000万以上のお給料を貰えました。今では1,2年目で1000万あるとかないとか・・・。

個人的にはそこまでの価値の仕事をしているんだろうか・・という疑問は常に感じていましたが、くれるのでもらってました。

ずっといれば8億もらえてたみたいですね。

 

<超激務と徹底管理>・・・半分ホント

 誰が思いついたのか「キーエンスは30代で家が建ち、40代で墓が立つ」というなかなか秀逸なフレーズがネット上に流れています。

収入は高いが激務だということですね・・・

 

しかし、これは真実ではありません。

かなり昔にそういう体質があったという話は聞きましたが、自分が知っているここ10年ぐらいは、むしろホワイト企業の部類だと思います。

全国に営業所がありますので部署や上司の性質で環境の差はあるのかもしれませんが、全社的に21時頃には帰宅しなければいけませんし、客先との接待なども禁止されているため存在しません。本当にラクです。

過労死などがニュースなっている業界・企業もありますが、キーエンスよりも激務な会社は星の数ほどあると思います。

 

ただし、管理面には合理主義から来る細かさがあることは否めません。

営業マンは営業外出中の行動を分単位で記録して報告しなければならないなどとネット上には書かれていますが、それは事実です。

営業効率等に改善をかけるという意図から来るものですが、そういったマイクロマネジメントに閉塞感を抱く人には、確かに行き過ぎた管理と捉えられるのかもしれません。



あまり細かいことを書くのはいかがなものかと思いますのでこの辺にしておきますが、総じて良い会社だというのは断言できます。

給料が異様に高く、内情がオープンになっていないというところから憶測を呼び、世間でブラック企業的な噂が流れることも理解できますが、完全にホワイト企業です

 

その証拠に、私は自分の生徒にもよくキーエンスへの就職を勧めています。

やりたいことが明確にある人、仕組みの一部になることが苦手な人には恐らく向いていない職場ですが、一般的なサラリーマンの中で言えば圧倒的に厚遇の良い会社です。

あれはきっとKING of サラリーマンです。

 

就職活動でも非常に人気があるらしく、たまに知人経由で就活生から相談を受けたりします。

採用面接も超合理的で、営業マンに必要な「第一印象・コミュニケーション能力・論理的思考力」をシンプルに問われているものだと思います。

学歴偏重の雰囲気は全くなく、営業マンは日東駒専から早慶・国公立まで、様々な人がいますので是非チャレンジしてみてほしいです。

 

 ちなみに、営業マンが塾講師になるってどうなの?というところに対しては、下記動画で細かい話をしています。

youtu.be

 

個人的にもキーエンスにはどんどん発展してもらって、元社員の株も勝手に上がっていくといいな〜と思ってます。

センター英語なくなるってよ(入試改革 第3回)

 

第2回では入試改革以後の問題傾向や必要な能力について説明しました。

今回の第3回ではもう少し細かい制度の変更点などを確認していきたいと思います。

 

変更点を大きく3点に分けてみました。

 

①    「高校生のための学びの基礎診断」を導入

 

全国の高校生の基礎学力定着を測定するために導入される試験です。

2019年度に高校2年生になる学年から受験可能になるようです。

まだ未決定の部分もありますが、「全国一斉学力テスト」みたいなものでありながら、大学入試に用いられる可能性もあると言われています。

 

用いられる可能性の一例としてAO入試との併用などが考えられます。

推薦・AO入試では知識を問う学力試験がない大学が多いのですが、今後はそれを認めず、この「高校生のための学びの基礎診断」の結果を共通して用いることなどが検討される可能性があります。

但し2022年度まで(制度定着確認・調査研究完了まで)は入試に利用しないという旨の記載が現時点ではありますで、現在(2017年度時点)の中学2年生までは大学入試とこのテストは実質無縁となる可能性が高いと言えるでしょう。

 

②    センター試験 ⇒ 「大学入学共通テスト」 に変更

 

第2回にも説明した通り、センター試験が生まれ変わります。

2020年度受験者から新試験となり、変更点は下図のようになります。

 

2024年度からは学習指導要領が変更に伴い、大学入学共通テストも変更となり科目数などが簡素化される予定です。

 

f:id:yuto-nagawa:20180127122418p:plain

 

大きな変更点は「記述式問題」が導入される点です。

第2回に述べたB領域の能力を測定するために導入されるもので、既に例題も発表されています。

実は今年のセンター試験でも新傾向への布石のような出題がありました。

ただ、難易度のハードルが急激に上がるというわけではなく、少々対策・訓練をすれば解答は作成できる内容だと感じています。

 

またマーク式問題の中でも「思考力・判断力・表現力を一層重視した問題」の出題が検討されており、現在モニター調査が実施されています。

例えば国語では「短歌と論評」「古文とそれについての対談」を読ませ、複数の情報を総合して捉える力を問う問題が公開されています。

確かに切り口は新しいものですが落ち着いて今まで通りのやり方で対処すれば十分に得点可能な内容です。

 

 

③    英語の4技能重視→民間試験の利用

 

20202023年度試験では大学入学共通テストの英語の成績か民間試験のどちらかの成績を利用することができますが、その内容は各大学の入試要項次第です。

2024年度以降は共通テストの英語科目は廃止され(センター試験から英語がなくなり)民間試験の成績を利用するのみになります。

 

現状でも民間試験を導入している大学学部は増えてきていますので馴染みはあるかもしれませんが、4技能とは英語を「読む」「聞く」「書く」「話す」4つのスキルを指しています。

今までの日本の英語教育・大学入試では主に「読む」「聞く」が重要視され、ペーパーテストとリスニングテストが主流でした。

しかしグローバル人材とは世界で自己表現ができなければならず、書いたり話したりして自分の意志を英語で相手に伝えなければなりません。

そのような背景から4技能が全て重要視されることとなりました。

 

しかし共通テストで4技能を測るのは大変なので、民間試験の結果を柔軟に入試に取り入れるよう、下図のような対照表を政府が作成しています。

 

f:id:yuto-nagawa:20180127122636p:plain

 

正式にどの民間試験を利用可能とするかは未定です。

また大学学部がどのランクまでの成績を求めるのかも随時変化するでしょう。

高校3年生の4~12月の間で2回受けることが許されるため高得点を狙うチャンスが2度あります。

 

ちなみに表1番左のCEFR(セファール)とはヨーロッパを中心に用いられている言語習熟度の尺度です。

ヨーロッパは多言語ですから、例えば「私はドイツ語がC1で英語がB1でイタリア語がA2」みたいな表現で自分の語学レベルを表現することができるわけです。

一般的には「B2」レベルで、その言語での大学の講義が理解できるレベルだと言われているようです。

 

 

以上のように、しばらく変化がなかった大学入試が大きな変化点を迎えようとしています。

第4回では入試改革後の大学受験に挑む受験生が今からどのような対策を練っておけばいいのかについて考察してみたいと思います。

 

 

これからの大学入試に必要な能力(入試改革 第2回)

第2回の今回は、将来的にどのような傾向の入試問題が導入され、受験生はどのような能力が求められるようになるのかを確認してみたいと思います。

 

突然ですが

「1台のバスにゴルフボールは何個入るでしょう?」

と聞かれてなんと答えますか?

 

嘘か本当か分かりませんが、以前ネット上で某一流企業の入社試験の問題として紹介されていた設問です。仮に嘘だったとしても十分にあり得そうな問題だと私は考えています。

 

さて、このような一見無茶な問いにどのように答えることができるでしょうか。

バスは小型?大型?とか色々なことが頭の中を駆け巡る人もいるかもしれませんね。

 

少々粗い言い方になりますが、このような問いに答えられる人材が、政府が入試改革を通して育てようとしている人材とも言えるかもしれません。

 

企業の入社試験と大学の入学試験を簡単に繋げてはいけませんが、第1回で見たように、入試改革はそもそも産業界からの要請に端を発しています。

ということは、入社試験である「バス・ゴルフボール問題」も入試改革で必要になるスキルのヒントにはなるかもしれません。

事実、似たような問題が大学入試でも少しずつ見られるようになってきています。

 

 

では、入試問題がどのように変化するかという話の前に、具体的にどのような「能力」が入試改革を通して育成・評価されようとしているのか確認してみましょう。

第1回では漠然と「自分で考えて創り出す力」と勝手に呼んでいましたが、当然政府主導でやっているこの改革には多くの資料やマニュアル類が公表されおり、定義づけがされています。

 

下記画像は文部科学省のHPで見ることができる高大接続システム改革会議での配布資料です。

受験生のどのような能力を、どのような試験で測定しようとしているのか。

ポイントは横軸の「A→B→C」の段階的な内容変化の部分を理解することです。

 

f:id:yuto-nagawa:20180120125057p:plain

(首都圏模試センターHPより)

 A:知識・理解

これは従来の日本の教育にあるような、いわゆる暗記系の勉強部分が相当します。

広く正しい知識をインプットしてこそ高度なアウトプットができるわけですから、もちろん必要な能力です。

試験で言えば従来のセンター試験のようなマーク式(選択式)問題で測ることができる力です。

 

B:応用・論理(論理的思考)

読んで字のごとくですが、Aでインプットした知識を応用的に使うことができる能力を指しています。自分の中で法則を見つけたり、論理的に知識を体系立てて使用したりすることができる能力です。

これはマーク式の問題で測ることは難しく、試験で言えば記述式の問題で、ある程度回答者の思考内容を引き出す工夫が必要になります。

 

C:批判・創造(クリティカルシンキング・クリエイティブシンキング)

Bよりもさらに発展的な力です。

視点を変えたらどうなるだろうか、そういう論理ならこういうことにもなり得るのではないか、自分ならこういう考え方をするなどと「自分独自の考えを持ち、表現できる力」です。

この力を測るには表にあるように自由に考えを表現させる小論文形式の試験をするか、面接試験をするしかないでしょう。

 

 

さて、第1回から読んでくださった方はもうお気づきかと思いますが、日本のこれまでの教育はA、良くてB程度で止まっていたと言えます。

図表を見れば分かるように、現状のセンター試験で測定できる能力はAの領域にすっぽり収まってしまい、Bにも達していません。

 

しかしこれからの時代のグローバル人材は「C」の力までが必要不可欠なのです。

繰り返しになりますが、AからBにかけての領域の仕事はAIなどの機械に取って代わられます。

 

だから入試改革なのです。

 

センター試験2020年度から「大学入学共通テスト」に生まれ変わります。

そのタイミングで記述式の試験問題などを取り入れ、図表のオレンジ部分のようにA・Bの領域にまたがった能力を判定できるテストにすることが発表されています。

そしてC領域の能力測定については各大学の一般入試に委ねます。つまり優秀な(C領域の素養をもった)学生を見抜いて確保するため、各大学が入試問題に工夫を凝らすようになっていくのです。

 

実際どの程度のスピードで各大学の入試問題が変化していくかは私もまだ分かりません。

例えばCの能力を測る小論文は採点に労力を要し、面接やグループディスカッションも時間と手間がかかります。

そのような現実的な問題と折り合いをつけながら、大学側は改革を進めているアピールを政府側にしていくことでしょう。

 

 

しかし遅かれ早かれA領域だけの対策をしていれば間に合っていた受験に関して、BCへの対策が必要になってくることは間違いありません。

アクティブラーニングを採用する高校が増え、AO入試や小論文対策の予備校が増えてきているのは、この時流を捉えてのことでしょう。

 

これからの受験生はC領域(クリティカル・クリエイティブ)の力をつける手立てを考えなければ、SGUのような恵まれた環境のある大学に入学することはできず、またその先優秀なグローバル人材として世界で活躍することもできなくなってしまうのです。

 

 

では、今からできる準備には何があるのか。

第3回ではもう少し細かい改革内容や英語の入試改革について説明していきます。

 

 

最後に...冒頭の「バス・ゴルフボール問題」はただの荒唐無稽な問いだったのでしょうか?

この企業は「〇〇個入る」という正確な数値を求めているわけではないはずです。

私にはこの企業が学生に「A→B→Cの力をフル活用して自分独自の考えをひねり出せ

るところを見せてくれ」と問いかけているように思えます。

 

既にビジネス界の一部ではC領域の能力が必要とされていることは間違いないようです。

センター試験はなぜ変わるのか?(第1回)

センター試験がこの土日で開催されています。

ムーミンが出題されたとか、問題傾向が少し変わったなどということが話題になっています。

ムーミンはさておき、問題傾向が変化したものの中には明らかに「入試改革」の流れを意識したものが見て取れます。

 

「2020年大学入試改革」について様々な情報が飛び交っています。

教育業界にいる人間は当然なのですが、恐らくこれから受験を迎える方々も気になっているキーワードの1つかと思います。

 

実際、これから大学入試は多かれ少なかれ間違いなく変化していきます。

 

このブログでも、入試改革はどんな内容で、数年後の受験生は具体的に何をどうしたらよいのか、数回に分けてなるべく簡単に情報を発信してみたいと思います。

 

第1回  2020年入試改革が必要な理由

第2回  将来的な入試問題の傾向と求められる能力

第3回  センター試験→大学入学共通テストで何が変わる?

第4回  これからの中高生に求められることは何 

 

第1回の今回は、そもそもどうして入試改革などというものが実行されるに至ったのか、その背景を簡単に紹介しておきたいと思います。

 

 

始まりは教育業界というより産業界からの要求と言うことができます。

「世界で戦える優秀な人材をちゃんと育ててよ、大学さん」

と、簡単に言えば政府と産業界からそのような要請があったと思ってください。

 

ご存知の通り、これからのグローバル社会においては外国の優秀な企業・人材の中で日本人も戦っていかなければなりません。

日本は戦後確かに急成長を遂げた先進国ですが、どちらかと言えば一歩先を行っていた欧米の国を一生懸命に真似して成長を遂げてきた側面があります。

既に欧米が持っている知識や技術を吸収することで、進んだ国々に追いついてきたわけです。

 

しかしそこに1つの弱点があります。

それは「自分で考えて創り出す」のではなく「真似」でしかなかったということです。

本の学校教育・授業が先生→生徒大勢への一方的な性質のものであり、種々の試験が知識の吸収(=暗記)の確認に偏ってしまっていたことには、「知識を吸収して真似すればよい」という環境的な要因があったわけです。

 

さて、もうお分かりのように、これから日本で求められるグローバル人材とは簡単に言えば前出の「自分で考えて創り出す」ことができる人材です。

少し前の日本のように、知識を吸収して利用する「真似」はAIなどの機械が人間よりはるかに高い精度でやってくれる時代がやってきます。

オクスフォードの准教授が今後1020年でアメリカの47%の仕事がなくなる(自動化される)と発表したのは有名な話です。

これからは人間にしかできないことでなければ仕事にはならないでしょう。

 

以上の話をまとめて一言で言えば、政府は日本人を「自分で考えて創り出す」人材に教育していくために入試改革を決定したのです。

 

日本の国際競争力を上げていくための人づくりとして、まず大学入試を改革し、優秀な人材を育てようとしているのです。

また、もう1つ、グローバル人材に必要不可欠な素養として「英語で自分を表現できること」があり、入試英語も大きく変わるのですが、それは第4回で説明したいと思います。

 

政府は現在すでにトップ大学の中でもグローバル教育の下地があると言える大学を「スーパーグローバル大学(SGU)」と認定し、上から変えていく流れを作り出そうとしています。

※私大では早慶上智ICU、明治、立教、法政、東洋、立命館関西学院などが選出されています。

まず社会への大きな接続口である大学を変え、大学が変われば高校が変わり・・・と改革の連鎖を起こそうとしています。

 

 

まずは入試改革の背景をご理解いただけたでしょうか?

 

第2回では「自分で考えて創り出す人材」をどのような試験で測ろうとしているのか、入試改革における試験内容の改革方針について紹介したいと思います。

 

 

"復習"の作法とマインドセット 問題演習の基本

受験生はそろそろ本格的に志望校を目指して問題演習を開始しています。

知識習得のインプットに対し、問題演習はアウトプットになるわけですが、アウトプットしっぱなしではせっかく取り組んだ問題演習の効果は半減です。

 

今回は問題演習のアウトプットをもう1度インプットにつなげる「復習」についてです。

問題演習の成績が伸びる人=復習が上手い人であり、大変重要な要素です。

 

 

【復習の大原則】 なぜ間違えたのか理由を完璧に明確にする

 

とにかく正解できなかった問題については、その理由を毎回丁寧に把握してください。

理由はシンプル。

ミスの内容に自分自身で気づくことができると、次の機会に間違えなくなります

頭の中に自分の間違いのライブラリを作っていくイメージです。

 

しかもなるべく具体的に分析してほしいのです。

 

例えば、英語の長文読解で不正解があったとしたら・・・

・正解の根拠となる本文中の箇所は見つけられていたか?

・見つけていたとして正確に読めていたか?

・問題文の選択肢は正確に読めていたか?

・読めていなかったとしたら理由はなにか?(構文見落とし、未知の単語、焦りetc)

 

上記は大雑把な例ですが、自分を客観視して細かく分析・原因特定できることが必要です。

そして理由を具体的に突き止めることができればできるほど、対策も自動的に思い浮かびます

つまりアウトプットから次なるインプットへ繋げることが簡単にできるのです。

 

「復習=2度同じミスを繰り返さないための作業」という強い意識で取り組みましょう。

たまにテレビで東大生の勉強法を公開!みたいなシーンを見ますが、多くの人が「自分のミスを徹底的に明らかにする」というような旨の発言をしていますね。

一部の圧倒的な天才を除けば、所詮勉強は「やり方が上手い人」が結果を出しているだけなのでしょう。

 

【問題演習期のマインドセット】ゲーム感覚で取り組み、結果に一喜一憂はしない

 

問題演習期に復習とともに強く意識してほしいのは「マインド=心構え」です。

自分自身の点数の伸び具合や、周りの友達と自分の差を見てどうしても一喜一憂してしまうのがこの時期です。

しかしその一喜一憂が無意識のうちに普段の勉強に悪影響を及ぼす可能性が大いにあります。

 

精神的なアップダウンが激しいのに、勉強だけは一定のリズムと集中力で続けられるというような人がいるでしょうか?

凹んでいたり不安を抱えていたりすると、勉強への集中力が下がったり、投げやりになったりするほうが普通でしょう。

 

そのような状況に陥らないためには色々な方法があります。

弊塾ではポジティブサイコロジーを根拠とした「合格マインド」という授業があり、受験に必要なマインドセットについて時間をとって講義をしています。

 

その一例として紹介したいのがゲーム感覚で問題演習に取り組んでいくという考え方です。

前回より今回、今回より次回に1点でも点数を上げる点取りゲームと考えてしまうのです。

そして、ゲームクリアのためにはどんな改善・工夫をすればよいのか作戦を考えていきます。

 

こうすることで

「他人との比較ではなく」・・・過去の自分との比較。自分の中の時間軸での勝負になる

「失敗も認めつつ」・・・失敗が「結果」ではなく「次に続くもの」として自然と捉えられ、凹まなくなる

「自発的」・・・ゲーム感覚で作戦を立てるうち自然と勉強に向かうことができる

に演習を進めていくことが可能になります。

 

心構えは勉強の前提となるもので、ある意味で勉強することよりも重要な側面と言えます。

順調に自分の成績を上げていくために、復習の作法やマインドセットをしっかりと意識してみてください。

 

「目標設定」のコツ ある日突然折れないために・・・

五月病」などという言葉がありますが、受験生においても体調を崩したり、モチベーションが下がる人が出てくる季節です。 

 

唐突ですが、A君とB君という2人の受験生(浪人生)がいたとします。

 

【A君】

真面目で自分に厳しい頑張り屋。

1日12時間の勉強時間を目標に定めている。

高い目標なので1日9時間ぐらいしか勉強できない日もある。

 

【B君】

やる気はあるが辛いことは嫌い。

1日7時間の勉強時間を最低目標に掲げている。

責任感はあるので7時間は必ずこなし、たまに9時間ぐらい勉強できることもあり。

 

さて、4月に一緒に受験勉強を始めた2人がこのあとどうなるか・・・

 

5、6月頃にこの2人を観察していると

A君⇒いつも疲れた顔をしていて、ある日突然受験をやめると言い出す

B君⇒どんどん成績が伸びていく

となることが実はよくあります。

 

極端な例かもしれませんが、「まさかやる気満々だったあのA君が!」という意外な結果となることがあるのです。

 

そんなとき、だいたい原因を分析すると見えてくるのが「目標設定のミス」です。

 

A君はある意味大人で、自分が何をどれぐらい勉強しなければならないか客観視ができています。

自分の合格のために必要な勉強量なども計算して計画を立てることができ、基準を高く持って自分の勉強を進めようとします。

「高い目標」を掲げ、それをクリアしようと必死に頑張ります。

 

B君は受験への覚悟は決めているものの、目標のために自分を追い込むというところまではいけていません。

しかし日々の小テスト対策など、最低限やらなければならないことは分かっており、それはきちんとこなしています。

「最低目標」を掲げ、それをクリアしたら帰宅。気分が乗っている日はちょっとプラスアルファの勉強をして、できた自分を褒めてみたりしています。

 

 

勉強に限らず、何か新しいことを始めるときや継続的に取り組まなければならないものがあるとき、

「最低目標」という概念が非常に重要だと感じています。

 

自分が普通にクリアできる目標を掲げ、クリアする。それを日々繰り返す。

一見ただ自分に甘い人間に見えるかもしれませんが、これを実践している人は日々ポジティブでいられるとともに、物事を継続できます。

少々甘い目標設定だったとしてもクリアできたという事実が喜び・エネルギーになり、次の目標への原動力となるものです。

 

逆にあまり高い目標を掲げると、クリアできないかもしれない不安や、実際にクリアできなかったときの落胆など、自然と「できない」ことに目が行ってしまいます

この状態が続けば精神的に疲労も溜まっていき、よほど意志が強くなければ何かのタイミングで糸がプツっと切れてしまうリスクをはらんでいます。

特に真面目な人ほどこの傾向が強く出るように思います。

 

 

受験の話でいけば、やはり例のように勉強時間などの目標設定に注意が必要です。

 

例えば進学校出身で勉強習慣があり、12時間の勉強も苦ではない人は大丈夫です。

また、そもそも高い目標設定であるという自覚があり、クリアできなくても気にしないという人も大丈夫です。

 

しかし元々の勉強習慣があまりなく、心機一転合格を目指して頑張り始めたような人は要注意です。

目標の勉強時間が消化できない、成績も上がっていかない、できていないことばかりで陰鬱な気分に満たされ、逃げ出したくなるはずです。

 

人間、不慣れなことをいきなりトップスピードではこなせません。

また、辛いことを工夫なしに継続し続けられる人もいません。

 

できること・できる量から始めて、少しずつ目標設定を高くしていけばいいのです。

 

受験期の親子のアンガーマネジメント -怒りで人生の選択肢を狭めないために-

受験においては受験生だけでなく保護者にも色々な気苦労があると思います。

この時期は受験結果が良くなかったり浪人が決定したりすることで親子関係がギスギスしてしまうこともよく耳にする話です。

 

例えば私のいるDIET STUDYは超少人数制の塾で生徒1人1人と密にコミュニケーションをとっているためか、生徒から親の愚痴を聞かされることもあれば、保護者の方から受験や生徒の様子について尋ねられることも頻繁にあります。

受験生は多感な年代でもあり、親子関係が必ずしもうまくいくとは限らないようです。

 

そんな中で目の当たりにするのは

「親子間でのミスコミュニケーションが生徒の更なる成績低下や不幸を引き起こしている」

という悲しい現象です。

残念ながら今までも非常に多くの例を見てきています。

 

第三者的立場からその様子を見ていると歯がゆい思いをすることがあるのですが、第三者から見ているからこそ気づくことができ、アドバイスできることもあります。

 

キーワードは「怒り」です。

 

私は「アンガーマネジメントファシリテーター」という資格を持っているのですが、その知識を使いながら分析してみたいと思います。

 

  1. 子供は親の注意を「怒られた」と受け取る
  2. 「怒り」は伝染し、誤った決断を引き起こす
  3. 「怒り」は第二次感情
  4. 「怒り」をコントロールするには

 

 

1.子供は親の注意を「怒られた」と受け取る

 

「全然成績上がってないじゃない!」「なんで勉強しないの!」「やる気あるの?」「このままじゃ浪人にだぞ!」

少々極端な例ですが、親が子供に言いそうなフレーズです。

語気の強弱は色々でしょうが、子供の現状や将来を心配して発せられた言葉であると思います。

親からすれば、親として当然投げかけるべき言葉であり、放置するよりもよほど有意義だと思っているはずです。

 

適切なタイミングで子供を鼓舞することはもちろん必要なのですが、ここで重要なことは、子供がその言葉を「どのように受け取るか」ということです。

これらの言葉を少し強い口調で発しただけで子供は「親に怒られた」と感じます

 

例えば成績が悪くても、冷静に相手を案じるような表情で「どうして今回の成績は悪かったの?」と問いかければ子供は「心配してくれているな」「心配かけないように頑張らなきゃ」と思うはずです。

しかし親の「怒り」を感じ取った瞬間、それが親子間のミスコミュニケーションに繋がります。

 

2.「怒り」は伝染し、誤った決断を引き起こす

 

イライラしている人を見てイライラした経験はありませんか?

例えば私は最近カフェで、サラリーマン風の男性が恐らく部下に対して電話で怒っているのを聞いて、自分は何の関係もないのにイライラしてしまいました。

 

実は『「怒り」は伝染しやすい』という性質があるのです。

 

つまり親の「怒り」を感じた瞬間、子供の中にも「怒り」が生まれます

どんなに正しいことを言われていても、自分のことを心配しての言葉だと理解できても、その口調から「怒り」を感じ取った瞬間に子供の中にも「怒り」が生まれてしまうものなのです。

 

その怒りはかわいいもので「口答え」、大抵は怒りの感情をぶつけ合う「親子喧嘩」、ひどい場合には「勉強のボイコット」等に繋がります。

このような生徒を何人も見てきました。

 

親のそもそもの目的は怒りたいのではなく勉強してほしいとか頑張ってほしいとか、そういった願いだったはずなのに、気づけば子供のやる気を削ぎ、非生産的な結果を招いているのです。

 

その他にも怒りの性質には

・身近な対象ほど強くなる

・高い所から低い所へ流れる(吐け口を探してしまう)

というマイナスのものがあります。

この性質を見れば一目瞭然ですが実は家族というのは最も怒りをぶつけてしまいやすい対象なのです。

 

ではどうすれば良いのでしょうか?

私は「怒り」の本質を親子双方が理解するだけで関係は大きく改善できると思っています。

 

3.「怒り」は第二次感情

 

「怒り」は第二次感情であると言われています。

第一次的な他の感情から、二次的に生まれてくる感情が「怒り」なのです。

 

第一次感情には様々なものがありますが、不安・つらさ・苦しさ・痛さ・嫌悪感・疲労感・寂しさ・悲しさ・・・・などなど。

こういった感情が蓄積されていくと「怒り」となって溢れ出てきます。

これが「怒り」の本質、発生メカニズムです。

 

例えば門限の話などが分かりやすいでしょうか。

門限を過ぎても帰ってこない子供に、初め親は「ちょっと心配」になります。

さらにしばらくしても帰ってこないとなると、どこかで何かあったのではないかと「大きな不安」が押し寄せてきます。

そんなときにひょっこり子供が帰ってくると、親の第一声は大抵「おかえり」ではなく「今までどこで何してたんだ!」という「怒り」の言葉になります。「心配」「不安」が蓄積されていった結果「怒り」となって溢れ出た例です。

ちなみに、帰るなりいきなり「怒り」をぶつけられた子供は面食らうか、瞬間的に伝染した「怒り」を反射的に返してしまい親子喧嘩が勃発するかもしれません。

 

さて、受験に話を戻しましょう。

浪人が決まった、成績が伸びない、勉強している様子がない・・・

親の心の中には子供の将来への不安や焦りが募っていくはずです。そして、いよいよ子供に注意をしなければというときには不安が溜まりに溜まっているため「怒り」を帯びた言葉が発せられてしまうのです。

 

もし、このとき親が自分の第一次感情を冷静に分析できていたら、また仮に親が怒っているときに、その第一次感情に子供が目を向けることができたら・・・感情の衝突は回避できるはずです。

 

4.「怒り」をコントロールするには

 

「怒る」ことでは決して悪ではありません。

必要なときには正しいタイミングで正しい強度で「怒り」は表現するべきです。

「怒らない」のではなく「怒りをコントロールできる」ようになることが大切です。

 

まず前述のように、第一次感情に目を向けるだけでかなり冷静になることができます。

自分がイライラしているなと思ったら、「怒りの源になっている自分の第一次感情はなんだろう」と1度立ち止まって考えてみればいいのです。

すると「あ、自分は少し焦っていたんだな」とか「不安にかられていたんだな」とか、第一次感情が見えてきて、そもそもその第一次感情を解消する方策を冷静に考えることができます。

 

また、反射的に怒ってしまうことも避けたいものです。

日本アンガーマネジメント協会では「6秒ルール」を推奨しています。

怒りの感情のピークは6秒経てばおさまると言われています。

仮にイラッとしても「頭の中で6秒数える」「手のひらにイライラしていることを書く」などして6秒程度やり過ごすことができれば頭にのぼった血は引いていき、冷静に対処することができるようになります。

これを習慣として身につけるには日々のトレーニングが必要ですが、取り組む価値はあるかと思います。

 

親が「怒り」というただ1つの感情をコントロールできないだけで、受験生が人生の選択肢を狭めてしまう可能性があります。非常に悲しくもったいない話です。

そんな悲惨な結末を回避するために、少しでも参考になる点があれば幸いに思います。

 

今年うまくいかなかった人は下記も参考にしてみてください。

yuto-nagawa.hatenablog.com